悪いオンナ…
第1章 【友達と行った居酒屋で…】
え………これって夢………!?
いや、マジで何なの、これ………
こんな終わり方って本当にあるんだ?
昨日の事が、鮮明に脳裏に蘇ってくる
それだけで勃起してんだ
やりきれない気持ちでホテルを出た僕たち
お釣り、返したくても連絡先すら交換してなかったマヌケっぷりに笑ってしまうよ
“莉子”って名前しか知らない
何歳で、何処で何をしている人なのかも全部謎のまま
あっ……もしかして、と何度、彼女に似た面影を追い掛けただろうか
あれから一切、僕たちが出逢う事はなかった
正直、最初は会いたいような…会いたくないような気持ちが入り混じっていたけど、時間が経つにつれてあの、天と地獄を見たこの上ない快楽を求めてしまう自分が居た
それは友達も同じだった
もう一度会えたなら、もう一度彼女とセックスがしたい
彼女の身体を堪能したい
あの快楽に溺れたい
でも遊んでそうだったから、万が一再会出来たとしても、彼女の中で2回目…なんて事はないのかも知れない
そもそも、覚えてもらってないかも
お酒飲んでたしな……
しかも、3Pした相手だもんな
出来れば会いたくない、かな
無謀にも時間だけが過ぎていく
やり甲斐の感じないタスクだけをこなしていく日々
時々飲み歩いたりするけど、何処かでまだ彼女の面影を探してる
知り合いの紹介で付き合い出した彼女とももう半年になる
セックスはあくまでノーマルだけど満足はしている
あの時の3Pなんて、莉子というオンナの事なんて早く記憶から消えれば良いんだ
そう言い聞かせていたのに………
更に時は過ぎ、彼女にプロポーズを決意して買いに行ったジュエリーショップ
初めてのプロポーズだから右も左もわからない僕に声を掛けてくれた店員さん
「婚約指輪を…」と顔を上げた瞬間、僕の中で地響きがするほど衝撃を受ける事となる