バニーガールホール
第7章 月下の戯れ
俺が何か店に忘れ物でもしたのかと
自分のポケットを弄ってみるが。
スマホや鍵はある感じだったし…
会計を支払ったので財布も持っていた。
カツカツカツと…ユイの
ヒールの音が俺の方に近づいて来て。
ちゅ…と…頬にユイがキスをして来る。
『………今日は…ありがとうございました。
あんなに…乱れてしまったのは……、
私も…初めての事…だったので…。
至らずが…多くて…申し訳ありません…でした』
上から…月が俺達を照らしていて、
アスファルトに2つの影が伸びる。
月に照らされて伸びた影と影が重なる。
俺と…ユイの唇も…重なって居た。
『お忘れ物…でしたので…』
「それを届けに…出て来たのか?
ウサギは…大人しく巣穴に帰んな…」
そう言って…ユイに俺は背中を向けた。
夜風は…冷たくて心地は良かったが、
ユイと重ねた唇だけ…
何故か…温かい熱を…残したままだった。
ーーー
ーー
月下の戯れ END