バニーガールホール
第1章 長い夜の始まり……
当然仕事が”出来る”やつから出世する。
それは…当たり前の事だった。
昔から人より勉強は出来ていた…方だった、
『緒方さんの息子さんは…
賢くて羨ましいわ…』だなんて…、
大学が決まった時に近所の奥さんが
俺の母親に言っていた…。
自分は…特別なんだって…、
そんな風に…勘違いしてた子供だった。
って…事を、社会人になって学んだ。
教科書に載ってない事が…、多すぎる。
同期で…入社した連中が次々に
出世して行く中で…俺だけが…、
スタート地点に取り残されていた。
大学時代の飲み会で知り合って
付き合ってた年下の彼女が居た、
卒業して…生活が安定したら…
結婚してね?私専業主婦がいい…。
なんて…事を言っていた……
まぁ要するに…就職が面倒だったんだろう。
一緒に…棲みたいと言い出したから、
ちょっと無理する感じの家賃の
マンションに一度引っ越したが
ちょっと無理をし過ぎたのが原因で
残業を…増やしたりとか…して…
その分を補っていた…んだが…。
お決まりの…私と仕事と
どっちが大事なの?なんて言って来やがった。
ここで住む為に…こっちは
残業してんだぞ…!と…帰りが遅いだの
稼ぎが悪いだの…文句しか言わないクセに
家の事を一切しない彼女からは
次第に俺も気持ちが離れて行っていた。