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バニーガールホール

第16章 そらとぶうさぎ


パシャっと…いう音と共に
水溜まりに生まれた波紋で
映し出されていたネオンが揺らいだ。

不意に空を見上げた…、
さっきまで…雨が降っていたから
空は厚い雲に覆われていて。

あるであろう月の姿も、
あるであろう星の輝きも…
その姿を俺の目で捉えることが出来ず…。

夜の色に染め上げられた…空が
ビルとビルの僅かな隙間から見えた。





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いつもの駅から電車に乗り込んで…、
住んでいるボロの安アパートに戻った。

鍵穴に鍵を差し込んで、
玄関のドアの鍵を開く。
ガチャとドアを開いて
靴を脱ぎながら壁にある
電気のスイッチを探して
玄関の所と廊下の電気をつけた。

玄関から上がってすぐの
キッチンと言うより
廊下程のサイズしかない
狭いキッチンの壁にある
給湯機のスイッチを入れて、
その奥の襖を開いた先に移動する。

着ていたスーツを脱いで…
形を整えてハンガーに掛ける。

部屋が和室だから…
引っ掻ける所が回るタイプの
ハンガーを使えば壁に付いてる
長押(なげし)に好きなだけ
服を引っ掻て置くことが出来る。

いつもスーツを置く場所と
決めている場所にスーツを掛けて。
その隣にハンガーに掛けて
吊るして置いた明日着る服を眺めた。

「明日…になっちまったな…、…木曜日…」

何処に行くのかとユイに
尋ねてみたりもしたんだが、
私に任せて下さいと…言われてしまった。



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