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微熱に疼く慕情

第3章 【甘く麻痺していく心情】






「引いてない?嫌われてないなら、良かった」


「ところで、一体何処に向かってるんですか?駅は反対方向ですけど…?」



周りをキョロキョロして誰も居ないか確認したら
ギュッと手を握られた



「まだ一緒に居たい……タクシー乗って俺の家に向かうのはどうでしょうか?」



ホテルじゃないんだ…?
まぁ、今みたいにバッタリ誰かと会う事を考えたらその方が賢明かも
普通なら家に行くのはちょっと…って躊躇するところだけど昼間キスしたしな
これ以上焦らすのも可哀想かな



「襲われちゃうんですか…?」


「えっ…!いや、そんな急には、いや、そうじゃなくて」



凄いテンパってる
可笑しくて声を出して笑ってしまった



「じゃ、タクシー乗る前に、私の気持ち……話しても良いですか?」



ついにこの時が来た
はっきりしなきゃいけない
曖昧な関係が大好きな私なのに……



大きな公園に立ち寄り、ベンチに座る
温かい缶コーヒーを手渡されお礼を言った
さて、どこから話せば納得してもらえるかな
付き合うとなれば家も教えなきゃならないし
今の段階ではちょっとそれは考えられない……
酷い女の、告白の返事……



「私、先輩が思ってるような人間じゃないんです……現にこうやって告白されたのに返事に渋ってるじゃないですか、早く応えないとって思う反面、もう少しこのままの関係で居たいかなって思ったりもしてて……」



話し始めた私の声をひとつひとつ拾ってくれている
真摯に受け止めてくれる姿勢
缶コーヒーは開けずに握り締めていた



「優柔不断でごめんなさい……たくさん思わせぶりな態度も取ってきちゃったと言うか、社内恋愛は無理とか言いながら今日もキス拒めなかったし……」





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