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微熱に疼く慕情

第3章 【甘く麻痺していく心情】






今度はギュッと手を握る
「わかってるよ」と言って握った手を頬に充てがう
その手が温かくて自然と溢れ出ちゃう



「でもさ、樹くん、私の事、怒ってくれて良いんだよ?良い子過ぎるよ、樹くんにだって心の中の黒い渦みたいな感情もあるでしょ?ぶつけてくれなきゃ樹くんが我慢ばっかりしてそのうち壊れちゃうよ……本当は私の事、どうしたい?」



時々揺さぶっちゃうの……本性が見たくて
この子なら大丈夫かなって思う人に限ってだけど
ただ、私がニコニコして抱いたり抱かれたり……だけじゃつまらないじゃない
出来れば、刺激的な夜を過ごしたい



困ってる樹くんに手を添える



「このまま私に抱かれて終わるの?」



わかるよ、誰だって本音を言う時は怖いよね
嫌われたらどうしよう
怒らせたらどうしよう
この関係が崩れたらどうしよう……って



顔を除き込んで優しく微笑むの



「たまには樹くんが、私のリード握ってみても良いかもね?」


「えっ…?」


「んふふ、忙しいって理由で寂しい思いさせてるとね、もう愛想尽かされちゃうんじゃないかって」


「そんな事ないです…!僕はずっと、一華さんしか考えられないので」


「本当?寂しい思いたくさんしてるのに?」


「そんな理由で僕は一華さんを怒ったりしないです……会ってくれるだけで僕は嬉しい、一華さんを独り占め出来る時間を与えてもらえるだけで…」



あぁ、わかる……その気持ち、私が明島さんに向ける気持ちそのものだ……
この子も、生粋のドMなんだね
重なる部分があるから、私も放っておけないんだ
構ってあげたくなっちゃう
明島さんも、私に対してそう思うのかな…?



「僕の事、見限らないでください……」



いつかは私も、こんな風に明島さんに縋り付くんだろうね……






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