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微熱に疼く慕情

第4章 【錯乱していく激情】






とっくに終電なんてないし、もし帰って来なければどうしてたんだろう
怒りながらも私を見てホッとしてる



「ごめんなさい……」



素直に謝ると
そんな顔させたいわけじゃない…って抱き締める



「さっきの人が彼氏?年上だよな?俺、出てったけど大丈夫かなって今さらもう遅いけど、こっちこそ何も考えなしでごめん」


「大丈夫……」



勘違いしたままだけど説明する気力すらなかった
黒崎さんを彼氏だと思わせてても別にどうって事はない
その日は大智に添い寝されて眠りについた



後日、明島さんから連絡が来た
身体を気遣ってくださった
黒崎さんを挟まずに直接伝えてくれて嬉しい
きっと黒崎さんが仕向けてくれたんだろうけど
明島さんがオロオロしているのは貴重でした



「俺はまた、一華を抱いて良いのか?」



え…?自分の耳を疑った
これ……明島さんが言ってくれてるんだよね…?
どうしよう、嬉し過ぎる……



「あぁ、クソ、電話じゃ顔が見れなくてもどかしいな……お前が今どんな顔してるのか、わかりゃしねぇ……やっぱり会いに行くべきだな」


「大丈夫です、私は……身体も何処も悪くないですし、そんな気にしないでください、また、私も会いたいです」



今、顔を見てしまうとまた泣いたりしたら困らせちゃうから
もう少し時間が経ったらいつものように会えるんじゃないかって……



「黒崎には部屋番号教えたのか?」


「え……教えて、ません」


「俺には?俺には一華の部屋番号教えてくれる?」


「クスッ……来ないくせに、教えません」


「今、マンションの下に居るとしても?」


「え……?」



まさか、と思いつつベランダに出てみた
同じようにスマホを耳に当てている姿が目に入る



「どうして…?」






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