
微熱に疼く慕情
第5章 【陶酔させてく純情】
宿に着いて部屋へと案内され荷物を置いた
ビジホっぽいのかなって思ってたらそうでもなかった
早速、先輩から(何もされてない?大丈夫だった?)って心配のメッセージが届く
ふふふ、と笑ったら「あら、恋人?」とお局様に見つかってしまった
急にテリトリーに侵入してきてびっくり肩が上がる
同じ部屋だけど油断していた
「あ……はい、あはは」
「良いわね、それくらい張りがないとやってられないわね、幸せそうで安心したわ、一匹狼だと思ってたけどあなたそうやって笑えるのね」
「あぁ……私、女性特有のネチネチした世界が嫌いで……わざとなんです、一人の方が楽だなって……気を遣わせてたならすみません」
「ううん、あなたみたいな人の方が信頼出来るもの、仕事も誰より丁寧よ」
まさかまさかの…!
お局様から褒めて頂けるとは…!
思わず「ありがとうございます」って頭下げちゃったよ
「あなたと同じ部屋で良かったわ、私もトイレに一人で行けない世界は嫌いだから」
マジかぁ、お局様と一番気が合うかも知れない
いや、マジ、飲み明かしたいわ
もう50代のインテリおばさんだと思ってたけど
「私も一番、藤田主任が信頼出来ます」って
心の握手をしてみた
先輩とはチラホラ会えてバレないようにアイコンタクト
まだ警戒しちゃう
だってこのメンツだよ…?
ほら、先輩も周り囲まれてる、香水臭い女たちに……
スケジュールの流れを皆で確認して夕食までは時間がある
一人で温泉入って来ようかな
「ねぇねぇ、橘さん、俺らと散策しない?」
「えっ…、いや、あの……結構、です」
何で営業部ってこんなしつこいの、皆軽いし
大人数で来られるとほら、女子の目線が……
もうヤダ……
