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微熱に疼く慕情

第5章 【陶酔させてく純情】






「はいはい、何やってんの?橘さん困ってるでしょ」って割って入ってきてくれたのは先輩だった
ついにこっちに来てしまった……
人当たりの良い性格で揉め事は起こさない
人を纏めるのが上手い、惹きつけるのが上手い
プレゼンとかも凄いって聞いた事はある
営業部も先輩の言う事には渋々従うみたい、凄っ……



「あ、山岸さんこそ抜け駆けしないでくださいよ?」ってボソッと言われてた
「バーカ」って返してたけど目が合ってヤバ…ってなる



「き、気をつけてね……あいつらガンガン来ちゃうとこあるから……また注意しとくけど」と他の人の目もあるからぎこちない会話
「ありがとうございます」とお礼だけ言ってその場を離れた
部屋に戻ると電話が掛かってきて「焦った〜」といつも通りの先輩



「先輩こそ……囲まれてましたね」


「俺も何とか逃げ切りたかったの、一華見たら連れて行かれそうな勢いだったからマジ焦った、間に合って良かったけど」


「先輩……何処で誰が聞いてるかわからないから名前は…」


「そっか、でも名字でもわかるじゃん」


「なるべく控えてください」


「わかった……今晩、会えるよね?」


「はい、夕食会終わったら温泉入るふりして待ち合わせですよね」


「うん、もしまた誰かに絡まれたりしたらいけないから近くで待機しとく」



少しばかり心配性な先輩を笑うと
「可愛過ぎる彼女がいけないんですぅ」って不貞腐れちゃった



「笑ってごめんなさい、先輩が必死なのってレアだな〜と思って」


「俺は必死ですよ、あなたと付き合ってからはずっと…」



あなた呼びにまた笑ってしまった
私が控えてって言ったからだけど、まさかの
あなた呼びだから
あぁ、また拗ねるの?
「会ったら覚悟しといて」ってどういう意味ですか…?
何、されちゃうんだろ……






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