
微熱に疼く慕情
第7章 【錯綜していく哀情】
「何処行ってたの?」
「え……実家に行くって言ってましたよね?」
「実家って何処?」
「……◯◯です、遠いところですけど」
え?コレ何だろう?
言ってたはずなのにカマをかけられている?
答え合わせする時点で疑われてるって事だよね……
「何で携帯繋がらなかった?電源切ってただろ?」
「すみません、切れてたの本当に気付かなくて……病院に居たし、家事もあったんで……その、心配かけてごめんなさい」
抱き締められてホッとしないの何でだろう……
違和感しかない
抱き締める腕が震えてる
「俺もごめん……顔見るまで安心出来なかった……ちゃんと聞いてたけど、連絡つかないだけでこのザマだよ、情けない」
「今度からはちゃんとスマホ見るようにしますね」
「ううん、俺がダッセぇの……妙な胸騒ぎしちゃって……信じてるのに、ごめん……」
「あの、私、汗臭くないですか?ちょっと掃除とか頑張っちゃったんで、離れてください」
「ご実家の掃除?頑張ったんだ?臭くないよ、一華はいつも良い匂い」
「ん〜隼人さん、他の住人に見られるとマズいので…」
「あ、ごめん!」
やっと離れてくれて、代わりに私から指を絡めた
ギュッと握る
「珈琲でも飲みますか?」と部屋に誘う
このまま帰る気なんてないだろうし
疑われてたなら信頼回復が最優先でしょ
本当は疲れててベッドにダイブしたい気分だけどね
家の中に招き入れたらもう玄関先でキスされちゃうんだよ
お約束なのかな
不安にさせてたんだな……
「んん……まだ玄関ですよ?」
「ごめん、嫌だった?」
「シャワー浴びたいです」
「うん、あと3分だけ、キスさせて…」
「クスッ……じゃあ、3分だけ」
電気もつけないまま真っ暗闇での激しいキスは
嫌いじゃないけど……
