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微熱に疼く慕情

第7章 【錯綜していく哀情】






「んっ……あ、ちょっと」


「一華……好きだよ」



半回転して壁に手をつかされると後ろからジャケットを脱がされ服の中に手を入れてくる



「ちょ、隼人さん?シャワー浴びますから」


「……本当は他の男の匂い消したいんじゃないの?」


「え…?」



こんな事で別に動揺したりはしない
よくある修羅場ってやつだから
男の力には勝てないけど、本気で落胆してあげたら勝手に窮地に追い込まれていくの
「触らないで」って聞かせた事もないトーンで突き放したらどっちに出るかな



慌てふためいて謝罪してくる…?
それとも、逆上して身体を傷つけてくるか……
後者じゃない事を祈りつつ、乱れた服を直した
電気もつけて呆れ返った顔見てよ



「連絡出来なかった私が悪いです、ごめんなさい……でも、そんな風に思われてたんですね」


「いや、違う!ごめん、本心じゃない」


「今日は疲れました、やっぱり…帰ってもらって良いですか?」


「本当にごめん、誤解しないで?わかった、帰るから、ちゃんと仲直りしよう?傷つける事言って本当にごめんなさい、もう二度と言わない、まだ……彼氏で居させてください」



先回りして言ってくるタイプね
何か……初めての仲違いですね
あぁ、やっぱりこうなってくると面倒臭い、申し訳ないけど……



「え、彼氏でしょ?何で今、そんな事言うの?隼人さんの頭の中に別れとか出てきたんですか?」



知ってました?
私って、平気で涙ぐめる女なんです



「違う違う!考えてない!考えてないけど、一華にそれ言われたら俺、マジで生きていけないなって思って…」



めっちゃ弱い力でパンチしてあげる
泣きそうな顔で頬ギュッと抓んで「イテテ…」て言わせるんだから



「私が怒ってるのは疑ってくるからです……何でそれが別れに繋がるの?バカ…」





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