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微熱に疼く慕情

第8章 【壊れていく劣情】






看護師さんが出て行ってから手を握る



「あの、普通病棟の部屋で良いですよ、入院費、バカにならないんじゃ…」



個室だし、多分一番高い部屋じゃないかな
恐れ多いです、払えるかな?
大きな手で頬を包まれる



「何も気にしなくて良い、これくらい当然だろ、とにかく治療に専念してくれ」


「ん、はい…」



その時、明島さんの携帯が鳴り、部屋から出て行った
ずっと扉付近に立っていた黒崎さんと目が合う



「黒崎さんも……心配かけてごめんなさい」



ゆっくり近付いて来て見上げると
「触れて大丈夫?」と聞かれ頷いた
優しくそのまま抱き締められる
黒崎さんの心臓の音……心地良い



「俺も……心臓止まるかと思った」


「ごめんなさい…」


「怖がらせてごめん」


「もう大丈夫ですから……」



手を握られ頭も撫でられる
ベッドを倒され無理やり寝かされた
椅子に座り、手は握っててくれてる
明島さんも戻って来て、
一緒に泊まろうかという勢いだったから
それは流石に断った
シュン…としてたけど毎日来るみたい
顔見ないと安心出来ないって



「彼氏が来る時間帯だけ後で教えて」と言われて
頭をポンポンされ帰って行った
携帯を取り、電源を着けるとすぐに通知音の嵐
100件近く大智と先輩から来ていた
メッセージの中に
会社にはとりあえずインフルエンザだと伝えてるって書いてあった
ちょうど日数的に合うしホッとした
明日の朝一に会社へ連絡しよう



そして、最初のコールは先輩
すぐに出てくれた
怒られるだろうなって思ったけど
事情を説明して謝る
めちゃくちゃ心配を掛けてしまっていた
今すぐ会いたいと言われたがもう面会時間は過ぎている
明日、会社を休んで朝一で来ると言われてしまった





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