
微熱に疼く慕情
第8章 【壊れていく劣情】
午前は色々と処置があるから面会は午後からだよと伝える
大智も同じ反応で2人とも声が震えてた
安堵のため息が聞こえて、改めて申し訳なく思う
仕事なんて手につかなかったとまで言わせてしまう
朝一で会社にも事情を説明し、退院日が決まれば再度連絡する事になった
点滴もあって、昨日よりかは身体が少し楽に感じる
栄養状態や今後の治療方針について外来で診察を受け、病室へ戻る
当分、点滴は抜けないみたい
鏡に映る自分を見て、やっぱり少しやつれたなと思った
ヤバい、すっぴんでやつれてるとかダメなやつじゃん
病院内のコンビニでメイクコスメを買った帰り道、担当の看護師さんにまだあまり出歩かないよう言われてしまった
確かに少しフラフラしてきた
車椅子で病室まで連れ戻される
病院って暇だよね
処置が終われば何もする事がない
メイクしていたらリップが落ちちゃってベッドから降りて取る
ノックされて扉が開いたのと同時にしゃがみ込んだものだから、具合が悪いのかと勘違いされて看護師さんに支えられてしまった
顔を上げると「大丈夫ですか?」って相手の距離も近い
至近距離で目が合ってびっくりした
初めて見る、男性の看護師さん
若くて肌が綺麗……マスクしててもわかる、イケメン
点滴にまだ慣れてなくて引っ張っちゃった
貼り直してもらった後に今日から交代で担当する看護師だと自己紹介された
堺 旺志郎(サカイ オウシロウ)くん
え、可愛い、清潔感のある黒髪でサラサラマッシュヘア
斜めに流した前髪、ぱっちりお目々
白のスクラブが眩しいくらい似合ってる
素っ気ない態度って思われたかな?
シャワー浴びてないから近くに来られるのは避けたい
女性看護師さんに身体を拭いてもらったり頭だけ洗ってもらったりしていた
早くちゃんとシャワー浴びたい
