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微熱に疼く慕情

第9章 【歪んだ世界でも凛として…】






恋人繋ぎしている手に神経が集中しちゃうね
ギュッと握り返してくれるの愛おしいなって思う
照れてばかりなのにね
年甲斐もなくはしゃいじゃった
ワクワクする感じと、壮大さに見惚れる感じ



「クラゲ、好きなんですか?」


「うん、旺志郎くんがずっと見ちゃう感じわかる……私もクラゲに関してはそうかな」



何か隣から写真撮られた
「綺麗だから」ってクラゲ撮りなよ
「一華さんとセットだと延々と見てられる」は言い過ぎ
写真なら、もっと明るいところで撮ろう?



館内で飲み物を買ってきてくれているのを待ってる間、凄い目が合う人が1人…2人…3人……え?
スマホ触ってるフリしたのに「おひとりですか?」って声を掛けられる



「彼氏待ってます」と答えたのに
「今度ご飯だけでもどうですか?ご飯食べるだけ」って慣れてる様子
それで何人か引っ掛けたのかな
彼氏居ても大丈夫…宣言?
何枚も用意してるんだろうなって思うプライベートの連絡先が書いてある名刺を差し出してくる



そろそろ旺志郎くん戻って来る頃かな?
並んでたらもう少しかかるか
面倒くさいな
旺志郎くんの気持ちを掻き乱すには最適だけど……
全然タイプじゃないんだよね〜
受け取らないといけない系?
「彼氏に飽きたらでも良いから」って引き下がる気配ないので、受け取ると見せ掛けて手首引き寄せ耳元で囁いてあげるんだ



「一華さん!どうしたんですか?」



両手にドリンク持って駆け寄って来た旺志郎くん
慌てて仲に割り込んで引き離す
「あぁ〜何でもないですよ、では」ってやっと離れて行った
ナンパされてたの丸わかり
目が怒ってる
自分が盾になるよう前に立たれて
「一緒に並べば良かった、1人にしてすみません」とカフェラテを受け取る
キョロキョロして「クソ、皆、見てるじゃん」って私を隠そうとするのウケるんだけど







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