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微熱に疼く慕情

第11章 【普遍的な真理】






真顔で「気は済んだ?」って聞くと堪えるはずだよ
ギュッと抱き締められて「俺のなのに」と呟く
背中に回した手で擦ったら少しは落ち着くのかな
まだ全然浮かない顔してるね
その顔で持ち場に戻るの?
居ても立ってもいられなくなったんでしょ
最近の先輩はすぐ顔に出しちゃう
出逢った頃のクールさは何処に行っちゃったんだろうね?
私がそうさせちゃったのかな



「山岸課長」



会社での呼び名
昇進してマーケティング部の課長となった先輩
もうそろそろこんな事で取り乱さないでよ
私の彼氏、務まんないよ?
慣れて…とまでは言わないけど、腹括ってね



くるっと180°回転して先輩を壁側に立たせた
ネクタイごと引き寄せて
「そうだよ、俺の彼女だから自信持ってよ」とキスをする
それ以上は何も要らないでしょ?
これ以上は与えないけどね



「私の目に映ってるのは誰?」


「……俺」


「でしょ?きちんと断ったしこれからもそうする、後は何を望むの?」


「取られたくない」


「私の気持ちが他に行っちゃうんじゃないかって?」


「勿論信じてるよ……でも、俺みたいにしつこかったりしたら言い寄られてるだけでも嫌なんだよ、そいつの方が先に一華と噂立ったらマジで発狂する」



ムスッとした顔、嫉妬してる時はまぁ、
面倒くさいなって思う反面、可愛かったりもするよ



「じゃあ、もしそうなったら私の口からちゃんと皆の前で言うよ、自分の彼氏はマーケティング部の山岸隼人さんだって……」


「本当…?ねぇ、もう今から言っちゃダメなの?」


「それは……色々と仕事がしにくいと言うか……まぁ
いずれ言うんなら…とは思うけど」



あ……ヤバい、これ、墓穴掘ってる?
結婚はしないんだよ?
ただの彼氏彼女な段階で皆に言うメリットある?
って、コレ言うともっと悲しませちゃうのかな
先の事を思うと会社に居辛くなってくるよなぁ……
そう考えちゃう私はとことんクズだな





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