
微熱に疼く慕情
第11章 【普遍的な真理】
その昔、いつも期日過ぎて提出してくる営業課に文句を言ったところ、間に入って取り持ってくれた事がある
谷川さんだけはちゃんと仕事が出来る人だったから指導を何度かお願いしたけど
「何回言っても直らないのは多分、あなたと話したいからじゃないかな?」って言われた時は呆れ返ったのを覚えてる
これだけ塩対応してても?
見兼ねた先輩も色々とフォローしてくださってるけども……
部長も部長で花形部署の肩を持つしな
「あ……日付け、抜けてます」
「あ、あぁ……ごめんなさい」
その場で書いてもらうも何処か変
受け取ったのに全然行こうとしないし
メガネを掛けてもう一度見ると、提出した書類に付箋を貼り付けてきた
時々ある、こういうやり取り
連絡先が書かれていたり、食事の誘い等
今までもペリッと剥がしてその場で返してきた
“今度、デートしてもらえませんか?”
ストレートに書かれた文字
谷川さんでもこういう事するんだ、と剥がして
「これは結構です、書類確かに預かりました」って断るんだよ
流石にこれ以上は私でも無理だよ
身体保たない
新しい味は常に欲しいけど、ただでさえ自滅と隣り合わせなのに
「懲りずにまたお願いしに来ます」って私にだけ聞こえるトーンで捨て台詞されちゃった
どうしたの?彼女と別れたの?
さぞかしモテるだろうから片っ端から行けば?
喜んでついて来る女の子たくさん居ると思うよ
廊下を歩いていると誰も使っていない会議室に連れ込まれる
本当にあるんだ、こんな展開……
なに?怒ってるの?
さっきの見てた?それとも誰かから聞いた?
鍵を閉めて明かりもつけずに壁際で激しく唇奪ってくるのは、他の誰でもない、かなり嫉妬深い私の彼氏
「んんっ……会社ではダメだって言ったじゃん」
「ちゃんと断った?」
「うん……当たり前じゃん」
心配しても安心してもどっちでも結果は同じ
