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微熱に疼く慕情

第2章 【動き出す熱情】






スプーンで掬ってアーン…させる
パチクリお目々で「美味ーい」って良かったね
7種類くらい作ってタッパーに詰めていく
アップしていたバレッタを取って髪を整えたら肩に顎乗せてきた
何気に腰には手が回ってる



「ありがとう…」


「ふー、どういたしまして」


「疲れちゃったよね」


「大丈夫、じゃ……帰るね」


「送る」


「良いよ、病み上がりでしょ?」


「夜道を1人で歩かせたくない、ちゃんと帰るから」



見上げる大智の頭にチョップ……
「当たり前だよ」って笑うと釣られて笑った
温かい格好してよ?とか母親みたいな事言って
お互いの家を行き来してるの、大智くらいだよ
こんなお喋りだったんだ?ってくらいよく喋るの
尽きる事のない会話で自然と笑ってる
あれ…?私、普通に接してる
付き合う前の友達期間だった頃に戻ったみたい



後ろから走って来た自転車に接触しそうになって
危ないからと手を繋がれ大智のポケットに……
「今だけ許して、怪我してからじゃ遅いから」
そういう強引なところ、嫌いじゃなかった
変わってなくて、少し戸惑う
ポケットの中でギュッと握り合う手と手
「わかった」とか可愛げのない言い方しちゃう



電車の中でもずっと繋いでた
離す機会は幾らでもあったのに
離すとすぐポケットの中に戻される
だから諦めた
ていうか、今日だけ…と許してしまっていた
マンションまで辿り着いて手が離れる



「次はいつ会える?」


「当分ない」


「えっ?」


「自炊、頑張ってしてみて?今じゃ動画もあるし、見ながら作ってみるのも楽しいよ」


「一華が居ないと嫌だ……」


「掃除もしなよ〜?」


「一華が次も来るってわかったら頑張れる……」


「こーら、依存するな」


「一華だけが、今の活力なんだよ……」



ズルい、その言い方……




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