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HEAVEN~時を超えて~

第4章 心覗き合い

『そろそろお昼にしようか』


大きな切り株を見つけて真を座らせて
お弁当の包みを広げて真の手にお茶を持たせる


『マコト、好きなのを取ってね』


『・・・』


小さく切って手に取れるものだけ敷き詰めたお弁当
食べる事も敢えて強要せずにそっとしておいてみた



『あぁ、最高の空気だな。緑と太陽とマコト』


話すのは僕一人だから会話にはならないけれど
僕はその空間を目一杯満喫する



『・・・・。』


スッと、僕の視界に白く小さな
所作の綺麗な手が映る


真が広げた料理に手を伸ばして
果物をひとつ、ゆっくりと口に運んでいた



『・・・・モグモグ』



『ふふ・・・・そうそう、マコトそれがさ・・・』



僕は一人、話を続けた。




『いつ・・・・・』





『?・・・うん』



耳を澄まさないと拾えないような微かな音が
僕の話を一度止めた




『いつ・・・寝てるの・・・・あなたは』




なんの趣旨も脈絡もないような質問だった



彼女は僕の方は見ず
両手で小さなサンドイッチを持って半ば俯いたままだったけれど



48時間以上ぶりに彼女の声と言葉が聞けた。



その趣旨は何とも汲取れない言葉だったけど

僕は内に秘めていた緊張感から少し解放された

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