
小さい王さま
第1章 1・これからの話
不安があたりを包んでいました。
森の中ではたくさんの動物がいっしょに暮らしていました。大きい動物も小さい動物も、力の強い動物も足の早い動物も、みんな仲良しです。それというのも、森をおさめる精霊王が動物たちの食べ物をじゅうぶんに用意し、怪我や病気があれば治してくれたからです。
ところが動物たちの暮らしを支えていた精霊王が、寝込んでしまったのです。
心配した動物たちは精霊王のもとへ駆けつけお世話をしましたが、精霊王の具合は良くなりませんでした。
精霊王は泉のほとりにある石の寝台に寝たまま、動物たちに言いました。
「世話をしてくれるのはありがたいが、私の命はもうすぐ尽きる。これ以上は私にかまう必要はない」
動物たちはその言葉に顔を見合わせます。精霊王がいなくなってしまったら、食べ物の用意や、病気や怪我の治療をしてもらえなくなることを心配だったからです。なにより、これまでやさしく面倒を見てくれた精霊王が死んでしまうことのさみしさと悲しさが動物たちのこころをみたしていたのでした。
動物たちのそんなこころを知っていた精霊王は、さらにこう言いました。
「私のさいごの言葉です。私がいなくなったあと、おまえたちだけで生きていけるように、みんなで話し合って王さまを決めなさい。王さまはほかの動物たちのことを思いやり、ほかの動物たちは王さまの言うことにきちんと従って生きてくのだ。そうすれば私がいなくなったあともずっと平和に暮らしていけるだろう」
その言葉によって、それまで仲良く暮らしていた動物たちは争いを始めたのでした。
森の中ではたくさんの動物がいっしょに暮らしていました。大きい動物も小さい動物も、力の強い動物も足の早い動物も、みんな仲良しです。それというのも、森をおさめる精霊王が動物たちの食べ物をじゅうぶんに用意し、怪我や病気があれば治してくれたからです。
ところが動物たちの暮らしを支えていた精霊王が、寝込んでしまったのです。
心配した動物たちは精霊王のもとへ駆けつけお世話をしましたが、精霊王の具合は良くなりませんでした。
精霊王は泉のほとりにある石の寝台に寝たまま、動物たちに言いました。
「世話をしてくれるのはありがたいが、私の命はもうすぐ尽きる。これ以上は私にかまう必要はない」
動物たちはその言葉に顔を見合わせます。精霊王がいなくなってしまったら、食べ物の用意や、病気や怪我の治療をしてもらえなくなることを心配だったからです。なにより、これまでやさしく面倒を見てくれた精霊王が死んでしまうことのさみしさと悲しさが動物たちのこころをみたしていたのでした。
動物たちのそんなこころを知っていた精霊王は、さらにこう言いました。
「私のさいごの言葉です。私がいなくなったあと、おまえたちだけで生きていけるように、みんなで話し合って王さまを決めなさい。王さまはほかの動物たちのことを思いやり、ほかの動物たちは王さまの言うことにきちんと従って生きてくのだ。そうすれば私がいなくなったあともずっと平和に暮らしていけるだろう」
その言葉によって、それまで仲良く暮らしていた動物たちは争いを始めたのでした。
