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磯撫デ

第1章 ひとつ目のお話「海に招かれる」

『その地区に、似たような話がたくさんあってさ。それを取材して記事を一本書こう、ってわけ。今回はスポンサーもがっちり確保しているから、取材費も出るんだ』

今日の支払いも経費で落とすと言ってるからちゃっかりしている。道理であの万年貧乏なK実が『奢るから』等と言ったわけだと得心した。

似たような話って?

私が怪談に話題を戻すと、K実は得意げな顔をして取材ノートを黒バックから取り出す。そのバックはPCを収納するスペースがあり、ガバッと開くとカメラやらボイレコやらを取り出しやすい仕様になっているもので、K実の取材時のお気に入りだった。

「ひとつ目の話はね・・・」
それはK実がネットで見つけたとある体験談だった。

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