
やってゐやがる
第1章 富嶽百景
小学校からの帰り道、夕日が沈む方角に富士山が見えた。
逆光で真っ黒の霊峰3776mは、恐ろしさを感じたことを覚えている。
民家と民家の間、窮屈そうに、謙虚に座る富士。のっそりしていて、なんだ、大したことないじゃないか、と思った。
小学三年生のころだったか、火山の仕組みを勉強した。
火山の中は空洞になっていて、そこにマグマがたまっている。噴火すると、マグマが山頂から飛び出て、人間を飲み込む。富士山もまた、活火山である。
恐ろしかった。普段見ている、あの大らかな富士山は、関東を灰に沈めることができるのだ。(もちろん、富士山ごときに関東を沈めることはできない)
逆光で黒くなった、プリン型は、地獄と現世をつなぐ門のように思えた。門を開くと、マグマがぐつぐつと煮え、その中から有象無象の「助けて」という声が聞こえる。そんな妄想をした。
いや、妄想ではない。予想だ。誰も中を確認したことがないじゃないか。科学なんてのは、オカルトを前に、恐怖を前になんの意味を持たない。
逆光で真っ黒の霊峰3776mは、恐ろしさを感じたことを覚えている。
民家と民家の間、窮屈そうに、謙虚に座る富士。のっそりしていて、なんだ、大したことないじゃないか、と思った。
小学三年生のころだったか、火山の仕組みを勉強した。
火山の中は空洞になっていて、そこにマグマがたまっている。噴火すると、マグマが山頂から飛び出て、人間を飲み込む。富士山もまた、活火山である。
恐ろしかった。普段見ている、あの大らかな富士山は、関東を灰に沈めることができるのだ。(もちろん、富士山ごときに関東を沈めることはできない)
逆光で黒くなった、プリン型は、地獄と現世をつなぐ門のように思えた。門を開くと、マグマがぐつぐつと煮え、その中から有象無象の「助けて」という声が聞こえる。そんな妄想をした。
いや、妄想ではない。予想だ。誰も中を確認したことがないじゃないか。科学なんてのは、オカルトを前に、恐怖を前になんの意味を持たない。
