リーニエント
第6章 ディフェンバキア
次第に深くなる口付け。翡翠は息苦しそうに頭を振り、抵抗する。
「はっはあ……だめ」
「む……」
さらに両手を彼の口許へ重ね、拒絶の意を示すのだ。
「何が駄目なんだよ」
「ご飯、用意しなきゃ……」
「はあー」
不服そうに大きな溜め息を吐く瑠璃。
飯よりも翡翠を食べたい、などと脳内で漏らしていた。
そんな煩悩まみれの兄に気付く様子のない妹。
瑠璃の手からすり抜けると、駆け足でリビングへ入って行く。
「はー……ヤバい」
瑠璃は自身の手の平を見つめ、拳を作る。
もう、キス止まりでは終われなくなっている気がする。
妹に対して感じている欲情。間違った気持ちだと思いながら、それは日に日に大きくなっていた。
翡翠から移ったリップを指で拭っていると、スマホが鳴り出す。
リュックから取り出すと、光る画面には時田の文字。
瑠璃はタップし、会話に切り替える。
「何……うん、今飯前」
電話の相手は時田 萌羽(ときた めう)。瑠璃の彼女だ。
「え?あーじゃ、明日持って行くわ」
「……」
廊下で会話する瑠璃の背中を、悟られ無い程度に見つめる翡翠。
解っている、彼は自分の兄だ。キスも幼い頃からしている、ごっこの延長でしかない。
瑠璃の事が好きだなんて、間違い無く勘違いだ。
理解はしていても、まだ整理は出来ないでいる。
話し声を遮るように、翡翠はキッチンへ戻って行くのだった。
end
20260202
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