お前らめんどくせえから結婚しろ
第1章 罪な女と怖い男
「ごめん!気持ちは有難いけど、やっぱタクシーで帰る!」
「何故?」
そう返答した黒瀬の強圧的な声に那奈は一瞬怯んだが、「ほら、貴方著名人だし、私との変な噂が立ったら困るでしょ?」と返す。
「別に。君は?」
そうすぐさま返ってきた威圧的な声に那奈はすぐ返答出来ずにいると、黒瀬が距離を詰めてくる。
慌ててキングサイズのベッドから離れようとするも、腰の激痛で反応が鈍くなり、詰め寄ってきた男に簡単に押し倒され、那奈はベッドに沈み込んでしまった。
「朝から熱烈なお誘い、どうも」
「貴方が勝手に襲ってきたくせに何言って、退いて!」
「嫌だね。」
「......分かったわよ。送って下さい。」
そう那奈はお願いした。これ以上ベッドの上で口論して碌な事は無いと昨日の夜に嫌という程叩き込まれた為である。
そう言えば黒瀬は簡単に退いた。那奈はゆっくりと上体を起こすとベッドから立ち上がる。「歩けそう?」と心配しているのか馬鹿にしているのか何なのかよく分からない声色で聞いてくる黒瀬に「平気。」と素っ気なく返せば、彼はせせ笑った。
「平気」とは言ったものの、普段の歩行に度々“激痛”が走るものだから、あまり平気では無い。
「必要無いから、先、行ってて。」
だからと言ってお姫様抱っこやおんぶなんてされたくはないし、今さっき肩を引き寄せられたが、それもお断りした。
「先行っててって言ってるでしょ。」
今は午前5時だ。まだあまり人が居ない時間帯とはいえ、自分と同じ歩幅で歩いて隣にいる、妙に上機嫌な黒瀬を信じられないと思った。私なんか置いていってさっさと車に行けばいいのに。
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