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お前らめんどくせえから結婚しろ

第1章 罪な女と怖い男


ヤバイ。多分飲み過ぎた。何だこの紙。頭が痛い。
私何してんの?お店に迷惑かけた?謝らなきゃ。
クラクラする。どうしよう。隣の人誰?
水飲まなきゃ。でも身体動かない。ヤバい。

一人脳内で様々な思考が飛び交うも、反して泥酔した自分の行動を制御する事は不可能だった。


白い蛍光灯でともされた、「BAR CURIOUS(バーキュリアス)」の文字が浮かび上がる外看板。
レンガ造りにシックな木のテーブル。壁には格子の木枠の窓。
馬車道のガス灯をモチーフとした室内照明。
どこか異国感のあるこのバーは、定期的に利用させて頂いていたし、那奈のお気に入りのお店だった。

那奈は、決してこの酒場で迷惑行為をしないと決めていた。それは自分のお気に入りのお店だったし、この暖かいお店の雰囲気を壊したくなかったからだ。
淫らに男を誘ったりする事なんてもっての他、酒とツマミをやった後は、店内に設置されたダーツをやったりするぐらいで、ここではあくまで“普通の客”になりたかった。


だからいつもカウンター席は一個開けて座った。
今日もその筈だった。
いつものバーボンを頼んで、ツマミを食べながらマスターと楽しく話をしていた筈だ。
だが酒のペースがいつもより早かったような気がする。バーボンの他に、ウィスキーや赤ワインが転がっている。水もあまり多分飲んでいない。
そして今日は見慣れないお客様が居た。多分カウンター席を一個開けて座っていたお客様だ。サングラスをかけていたが、仕立ての良いスーツを着ていて初めて見る客だったが、横顔のラインが有名人の黒瀬にそっくりで思わずギョッとした。


話しかけてみたかったが、こっちは酒を飲みに来たんだと思考を入れ替えて酒に走った。
そこまでは覚えている。そしてそっからまるで記憶が無い。

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