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お前らめんどくせえから結婚しろ

第1章 罪な女と怖い男


そして今はというと、その黒瀬に似た謎の男と何故か席が隣同士で、メモ帳の切れ端で作ったような四角い紙がテーブルにいくつか転がっている。

那奈は恐る恐る四角い紙を拾った。
自筆だ。だが酒に飲まれ過ぎて焦点が中々合わずに、目をグッと見開いた。


”わたしのからだのすきなばしょ、どこ?“


ゲッと思いながら、裏面を見る。当然白紙だ。
他の紙も同じようにして、見た。


“くろせくんににてて、かっこいい。”


“となり、いい?”


“ひまだったら、ほてる、いかなぁい?”


“ななじゃだぁめにゃあの?だれならいいの?”


“虫しないでおへんじカエルして”



.......ダメだ。帰ろう。


「....かえる。いたしましゅ。ごめぇん。」


呂律が回ってない。正しくは、「帰ります。お会計お願い致します。ご迷惑をお掛けして大変申し訳ございませんでした。」とオーナーバーテンダーと隣の男にお伝えしたかったが無理だった。

「那奈ちゃん、...ぶ?...る?」


ここのオーナーバーテンダーさんが心配そうな表情でこちらを見てきたが、何を聞いてきたのか全く分からなかった。ひとまずお金の支払いを済ませようと思って財布を開くも、勢いを付けすぎた為に小銭やら何やら全部床にひっくり返ってしまった。

「あ!おかね!!」

私は膝をつけて、床に散らばった札やら小銭を血眼になってかき集めた。何せ私は人一倍“金がかかる”
体裁は良くても今の給料や対偶に不満を抱えている。前職の方がはるかに稼ぎが良かったからだ。ただ前職はそう長く勤められる会社ではない。だから今の会社に勤務しているだけだ。


ふらつく足で何とかクレカ払いで済ませると、店を出ようとしたが、足がもたついて早くもカウンター席の方に肘を付いてしまう。

その瞬間、カウンター席に座り込んでいた男が立ち上がり、何やら背後で話し声が聞こえた。


「帰るよ。」


1、2分後、隣に座っていた男に声を掛けられて、心臓が飛び上がった。声まで似ている...ような気がする。


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