アシスタントで来ただけなのに…!
第1章 鬼才漫画家、市川ルイ
二階に上がると、そこは吹き抜けになっていて廊下から埃まみれのシャンデリアがよく見えた。
紅色の絨毯は続いていて、奥の部屋まで三部屋ある。
「まずは手前の部屋から」
そう思ってドアノブに手を伸ばそうとしたら、奥の部屋から何か物音がした。
「ん?」
気になり奥の部屋を見ると、微かに扉が開いている。
扉の隙間から明かりが見えた。
「あそこ…誰かいる」
私は扉に背を向けて、奥の部屋へと向かった。
奥の部屋までの扉を横切り、微かに開いた部屋の前に立つ。
中からパソコンを打ち込むような音が聞こえる。
「人がいる…」
お化け屋敷のような空間でようやく人間の存在を確認できた。
隙間から中を確認すると、少し薄暗い中光るパソコンのディスプレイの前に誰かいた。
どうやらその人がパソコンで何かをしているらしい。
私は半開きの扉をコンコンコンと軽くノックをした。
だが、返答はない。
「…え?気づかれてない?」
私はもう一度三回ノックをした。
しかし、やはり何も返ってこない。
勝手に入るのは失礼かと思い、気づいてくれるのを待とうかと思ったが、
腕時計を見ると、面接の時間になっていた。
流石に時間は守らないといけないと思い、隙間からスルリと部屋の中に入った。
「あ、あの…失礼します」
声を出してもこちらに見向きもしない。
もしかして人じゃない?とか思ったがどう見ても人間だし霊感がある私には見分けがつく。
「あ、あの!すいません!」
思い切って大きめの声を出すと、やっと振り返ってくれた。
振り返った瞬間ドキッとしたが、やっと気づいてもらえたと一安心した。
「あぁ、来たんだな」
「もうそんな時間だったのか」
椅子から立ち上がると、私の前に来た。
さっきまで声を出せたのに、目の前に面接を行う人が来ると一気に緊張が押し寄せてきた。
「す、須藤加奈子です!よろしくお願いします!」
ぺこりと頭を下げる。
「市川ルイだ、もっと入って構わない」
私は名前を聞いて固まってしまった。
市川ルイ?本人?
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