アシスタントで来ただけなのに…!
第1章 鬼才漫画家、市川ルイ
幼い頃から人には見えないものが見え、聞こえないものが聞こえた。
幼い時の私はあまり自己主張をするタイプではなかったので、ごく一部の人に軽く「あれなんだろう?」くらいしか言わなかったので
「加奈子は不思議ちゃんだよね」で終わっていた。
たまに「嘘ついてるんじゃない?」とも陰で言われたが、
察しが良かったのでそういう時は「最近寝不足なの」とか何とか言って誤魔化していた。
小さかった時は信じてほしい気持ちもあったが、
成長するにつれてこの体質にも慣れて、周りの人に伝えるほど気にすることもなくなった。
しかし、それらが日常生活に頻繁になり始めたのは、父が死去してからだった。
最初は亡くなった父が見守ってくれてるんだと思ったが、
学生の頃に青信号が点滅した横断歩道を急ぎ足で渡ろうとした時に黒い影が私の足首を引っ張った。
幸い、私はその場で転んでしまったがすぐ立ち上がり、何事も無かったかのようにその場を去った。
でも怖かった。
あぁ、やっぱり見えてたのはだめなやつだったんだと認識した。
だめなやつというのは、危険なものだったんだと思ったのだ。
それらは気にすれば気にするほど寄ってきて、日常生活を乱した。
体調不良、頻繁に起こる不運、悪夢、幻聴…。
母に相談したかったが、父が亡くなったこともあって言えずにいた。
その状況で霊的なものの相談なんかできるわけない。
それに、心配させたくなかった。
だから気づかないふりをしていた。
見えてもすぐ目を逸らす。できるだけ顔の位置を見ない、何もない何もないなど変なことを念じない。
やばいと感じたら人の多い場所をうろつくなど、
徹底して行った結果、当たり前になっていた日常生活に慣れ、次第に調子もよくなった。
なんて、変な話だろう。
こんなの誰にも言えるわけが無い。
しかし、そんな体質で、霊と隣り合わせの生活をしていたからか、
市川ルイの作品が好きだった。
それに市川ルイの漫画を読んでいる時は、自分の世界だった。
それだけ私は、市川ルイが好きで憧れだったのだ。
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