『春のうつろい』
第9章 春爛漫(はるらんまん)
2
指輪を知らないか?………
本当は知っている…
だってアレは、あの朝方…
春の気配がいっぱいに漂う、あの暁の朝…
わたしが失くしたモノだから…………。
朝露に濡れるアスファルトの上を…
コロコロと転がっていくのを見て…
見切ったモノだから………。
だけどわたしは…
「…………………」
知らない…
と、また再び、小さく首を振る。
そんなあの夜、あの朝以来の誘い………
「あと一時間くらいで終わりますから…」
「うん、そうか、わかった、お先に…」
それは、一時間後の逢瀬へのわたしからの答え…
そして…
先に待っているという、彼からの応え。
「ふうぅ……」
彼が出て行くと、ふと、そんなため息が漏れてしまう…
そしてなぜか…
いつもの昂ぶりが、沸いてこない。
なぜか…
その時だった…
「ね、先輩っ」
「えっ」
不意な、後ろからのその声に、わたしはドキッと驚き、振り向く…
「あっ…」
そこに、同じ課の後輩が満面の笑みを浮かべてきたいたのだ。
「あぁ、もぉ、やだなぁ、俺も残業して居るんすけどねぇ」
「え、あ、ごめん、そうだったの…」
本当に彼の存在には気付かなかった。
だが、なぜか…
わたしはこの後輩の彼の満面な笑みを見て、心がスッと軽くなった。
「ねぇ先輩、あと一時間くらいで終わるんすよねぇ?」
そして後輩くんがそう聞いてくる。
「あ、う、うん…」
そうあと一時間…
それは、本当は、彼との逢瀬までの適当な時間潰し。
「じゃぁ、残業終わったら…」
「え……」
「あそこの公園の夜桜に行きません…すか?」
「え、夜桜…」
「はい、夜桜っす…
屋台とかもぉ、沢山出ててぇ…………」
なぜか、わたしは…
その誘いに、少しドキドキしてしまう。
指輪を知らないか?………
本当は知っている…
だってアレは、あの朝方…
春の気配がいっぱいに漂う、あの暁の朝…
わたしが失くしたモノだから…………。
朝露に濡れるアスファルトの上を…
コロコロと転がっていくのを見て…
見切ったモノだから………。
だけどわたしは…
「…………………」
知らない…
と、また再び、小さく首を振る。
そんなあの夜、あの朝以来の誘い………
「あと一時間くらいで終わりますから…」
「うん、そうか、わかった、お先に…」
それは、一時間後の逢瀬へのわたしからの答え…
そして…
先に待っているという、彼からの応え。
「ふうぅ……」
彼が出て行くと、ふと、そんなため息が漏れてしまう…
そしてなぜか…
いつもの昂ぶりが、沸いてこない。
なぜか…
その時だった…
「ね、先輩っ」
「えっ」
不意な、後ろからのその声に、わたしはドキッと驚き、振り向く…
「あっ…」
そこに、同じ課の後輩が満面の笑みを浮かべてきたいたのだ。
「あぁ、もぉ、やだなぁ、俺も残業して居るんすけどねぇ」
「え、あ、ごめん、そうだったの…」
本当に彼の存在には気付かなかった。
だが、なぜか…
わたしはこの後輩の彼の満面な笑みを見て、心がスッと軽くなった。
「ねぇ先輩、あと一時間くらいで終わるんすよねぇ?」
そして後輩くんがそう聞いてくる。
「あ、う、うん…」
そうあと一時間…
それは、本当は、彼との逢瀬までの適当な時間潰し。
「じゃぁ、残業終わったら…」
「え……」
「あそこの公園の夜桜に行きません…すか?」
「え、夜桜…」
「はい、夜桜っす…
屋台とかもぉ、沢山出ててぇ…………」
なぜか、わたしは…
その誘いに、少しドキドキしてしまう。
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