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SAKURA (さくら)

第5章 八重桜 1 弥生

 7

 まだ、言い訳してくれるんだ…

 わたしはスマホを見つめながら、そう、思っていた。

 だけど――

『わたしも同行して泊まり』

 まだわたしには、この返信を…

 返す勇気が…

 ない――

 いや…

 まだ、湧いてこない――

「………」

 わたしは傍らで、眠っている慶太の顔を見つめる。

「ふぅぅ…」

 本当は、もう覚悟と、決心がついているはずだと思っていた…

 もう、指輪を外せるはずだ…

 と、思っていたのだが――

「………」
 
 まだ、迷っている…

 みたい――
 
 もう、わかっているはずなのに…

「……っ」

 慶太の目が、開いた。

「…………」

 逸れずに、見つめてくる。

「あ…お、起こしちゃった?」

「……あ…いや……」

「…え……」

「なんか気配を…感じたんす……」

「え、なに…」
 
「なんか…弥生さんを…感じたんす……」

「ば、ばか…な、なに言ってるのよ…」

「いや、マジっすよ…」

 慶太は、そう言うと、腕を伸ばし…

「え、あ…」

 わたしの顔を、グイッと引き寄せ…

「感じたんす…よ………」
 
「ぁ……」

 そう囁き、唇を寄せてくる。

「や、弥生さん…あ……して…るっす………」

「え……」

 よく、聞こえない…

「………してるっす…………」

「あ……」

 それは、聞こえないんじゃなく…

 聞きたくない、囁き――

「弥生さん…愛して……るっす………」

「あ…け、けいたぁ……」

 心が、融けていく……

「わ、わたし……も…………」

「え、なんすか……」

 それは、言ってはいけない…

「…あ…え…」

「なんすか?……」

 慶太の、熱い想いが、唇から流れこんでくる…

「……え、あ、わ、わたし……も……」

 熱い…

「………あ、あい……」

「え…」

 融けてしまう…

「わ、わたしも……てる………」

 わたしも、慶太を――


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