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むせび泣く人妻・美香。悦びの声

第12章 終焉(2)

女は床に落ちた紫のブラジャーとパンティを手に取ると、ベッドサイドに座りながら身に着けていく。ルームガウンを羽織ると、ベッドから立ち上がり、冷蔵庫からシャンパンを取り出す。床に転がっている片方のハイヒールを拾い上げながら、

「もう、こんな時間なのね」と美香はぽつりと呟く。

そして、「ねえ、あなたは私の何を知っているの?」と聞いてきた。

僕には答えがすぐに出てこなかった。

「私の好きなところを10個答えられる?」って質問はよくある。適当に5個ぐらい答えて、「もう分からない」といって誤魔化すのが常だったが、この単刀直入な質問の答えに僕は困惑した。

「正直、よく分からないな」

「そうよ。それが正解。正直に言ってくれてありがとう」

「ドライブしながら喋ったり、枕元で言葉を紡いだり、セックスしたりしても、それだけでは相手のことは分からないのよ。あなたも本音を隠している。私も本音を隠している。心の根っこが繋がらない限り、お互い、絶対にわかり会えないの・・・まあ、これは私の独り言だと思ってね。じゃあ、またね」

余韻を含む言葉を残して、美香は僕の腕をすり抜けるように先に部屋を出て行った。

夜が明けて、いつもの毎日が始まる。満員電車に揺られながら、昨日のことが頭をよぎる。

既に美香は淑女という仮面を脱ぎ捨て、家族の待つ自宅でごく普通の主婦に戻っているはずだろう。
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