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お題小説第8弾「暴走彼氏」

第1章 暴走彼氏

☆☆☆
じゃーじゃーと風呂場から、シャワーの音が聞こえる。

ここは、駅からほど近い翔のアパート。
帰るのに、電車に乗らなければいけない和也を、
翔が半ば無理やり引っ張ってきて、
これもまた強引に風呂に入れと言って、
風呂場に押し込んだのである。

『ありがとう…翔ちゃん…すごく助かるし、
 募金手伝ってくれて、助かった』

ニコっと笑って、風呂場に消えた。

「…ったく…和のヤロウ…」
和也と一緒で、翔もまた、ずぶ濡れになってしまった。

上半身裸になり、一応、体を拭いてはみたものの、
雨にずっと打たれていたせいで、すっかり身体が冷え切っていた。

和也と翔は幼馴染みだった。

和也は小さい頃から正義感が強いやつだった。
小学校の頃、いじめを止めに入って自分が逆にいじめのターゲットになったり、
中学校の頃、クラスメートに暴言を吐いた先生のところに抗議をしに行ったり、
高校の時なんかは、面倒な文化祭の出し物決めの仕事を全部押し付けられたり…。

翔はそのたびに、和也が傷つかないように、
和也のためにと、あれこれ動き回っていた。

まるで、正義の暴走列車。
目を離すと何をするかわからない…一途なやつ。

あぐらをかいて、肘をつき、ぼんやりと風呂場の方を見る。

…俺が、好きだって言ったら
和也は、どんな顔するだろうな…

色白で、弱っちくて、一見しても二見しても、カッコいいとは程遠い。
でも、芯には誰にも負けないほどの強さがあって、まっすぐ前を見つめていて、絶対に、折れない。

そんな和也に対する憧れにも似た気持ちを、翔は実はとても早くから自覚していた。
そしてそれが、性欲を伴う恋心だと気づくのに、それほど時間はかからなかった。
自分の思いの本質に気づいて以来、ますます翔は和也ばかりを見ていた。

『あの、ガラス扉の向こうに…和也が』

ゴクリと、喉が鳴る。

先程、アパートに着いた時、雨に濡れた髪や、体にピッタリ張り付いた服がとても、セクシーに見えた。

いけないと思っても、欲情する自分を止めることができなかった。

ガラス扉の向こうにうっすらと垣間見える肌色の影。
そこに彼の裸身を想像してしまって、ペニスが痛いほど勃起する。

『叶うわけない…片思いだ…』

そう、これは永遠の片思い。
俺はあいつの幼馴染で、
いい友達で、ただの友達で…。

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