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お題小説第8弾『梅雨の暴走』

第1章 梅雨に濡れ…

 3

 おいでよと
 夢幻のごと
 誘われて
 憧憬の部屋
 甘く薫るる


「いいから、さぁっ、早くっ」

「あ、は、はい」
 ボクは、そうお姉さんに急かされ…
 そして、手を引かれ…
 慌てて、部屋に招かれた。

 バタン…
 マンションのスチールドアが閉まる音が、やけにボクの心に響く。

「ほら、さあ、上がってぇ」

「あ、で、でも…」
 そう、ボクは、靴下までもびしょ濡れ…
 視線を下に向ける。

「もう、いいのよ、わたしだって、ストッキングまでびしょ濡れなんだからぁ」
 お姉さんはそう言って、スッとストッキングの脚先を向けてきた。

「……っ」
 その濡れたストッキングの爪先に、ボクは、ドキンと心跳ねらせ…
 思わず見つめ、いや、凝視してしまう。

「だからぁ、いいからさぁ、早くぅ、ほら、こっちへ」
 と、お姉さんはボクの手を引き…
 どうやらこの部屋は、ボクの家の間取りとは正反対らしい。

 脱衣所とランドリー室が一緒の、その奥に浴室がある…に、導かれる。

「……」
 お姉さんの指先は、濡れて、冷たかった…
 そして、このランドリー室は…
 甘い香りがしていた。

「ほらぁ、早く脱いじゃってぇ、マジ風邪引いちゃうからさぁ」
 と、そんなどぎまぎと、いや、狼狽え気味にいるボクにそう言って…

「……っ」
 お姉さん自らも、スーツの上着を脱ぎ…

「寒くない?」
 そう呟きながら、素早くブラウスを脱ぎ…

「……っ」
 スカートを外し…

「うわっ、すっかりぐしょぐしょだぁ」
 と、ストッキングを脱ぎ始める。

「……え、ほら、啓くんも早く脱ぎなよ」
 固まっているボクを見て、そう言ってくる。

「……っ」

「あ、もお」
 すると、固まっているボクを見て、その意味を察し…

「大丈夫、これキャミソールだからぁ…
 いちおう、下着じゃないからセーフ」
 と、明るい笑みを浮かべ、言ってきた。

「あ…は、はい」
 いや…
 だけど…
 ボクにとっては十分な下着、ランジェリーにしか見えない――

「ふぅぅ、ホント、びしょ濡れぇ」
 お姉さんはそう呟きながら、脱いだストッキングをフワっと、脱衣かごに放り投げた。

「さぁ、啓くんも脱いじゃいなよ」
 そしてそう言って、ランドリー室を出ていく。

「……」
 ボクはすっかりドキドキしていた。


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