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白いスニーカー

第1章 白いスニーカー

「知ってる? 一年の女の子……自殺したんだって」
「ポニーテールしてた子でしょ?」
「いつも一人で本読んでたよね……」
「いじめられてたんだって」
「全身びしょ濡れで帰ってたの見たよ……」
「汚れた白いスニーカー、マンションの屋上に揃えて置いてあったって」
 
 それは彼女のことを言っているのだとすぐにわかった。俺がずっと見てきた彼女の姿が走馬灯のように頭の中に駆け巡った。

 あの時……制服が濡れていた時、声をかけていれば何か違ったのだろうか。彼女が俺の前に立ち続けたのは、何か意味があったのだろうか。

 どれだけ考えても、もう彼女はいない。彼女はもう、俺の前に立つことはない。

 
 

 梅雨が明け、初夏の柔らかい風が電車のドアの隙間から入ってきた。俺はなんとなく目を開けた。すると白いスニーカーを履いた君が、隣で微笑んでいるような気がした。

 今でもまだ、彼女の白いスニーカーが目に焼き付いている。





【完】


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