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子猫クロワサンス(最終回)

第1章 子猫クロワサンス


役職付きの俺は、ステージから近い場所に立ち…ステージを見上げる形となるが…


成長し大人びた姿のユナに――――…


35歳のオッサンは涙してしまった。


「ちょ…ちょっと、係長!戌貝係長…なに泣いているんですか!?」


隣の他部署の係長に言われ慌ててハンカチで目を覆う!


「わっ、悪い――…花粉症で………涙が…止まらない…」



「花粉症…まぁ、時期ですけど…号泣とは…お察しします…お大事に」



花粉症ではないが……大の大人が会いたかった人を目の前に大泣きしているとは言い難く…つい、口から出任せが!


『続きまして、新しく専務に就任した“大久保 優奈(おおくぼ ゆな)”から挨拶をいたします。』


ユナは、美しい姿勢でステージ真ん中のマイク前に立ち頭を下げた。



『新しく専務となりました大久保 優奈(おおくぼ ゆな)です。若輩者です皆様のご指導ご鞭撻のほうよろしくお願いいたします。』



成長したユナは、幼かったあの頃とは違い立派な青年となっていた。


髪型は短目なボブにはなっていたが、サラサラで歩く度にサイドが風になびき耳がチラホラ見え隠れする。


あの耳に…何度も舌を伸ばし――…愛を囁いた。


涙で滲むユナの姿に俺は、何度も手を伸ばしたくなった。


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