子猫クロワサンス(最終回)
第1章 子猫クロワサンス
役員の挨拶はサクサクと進み、社長挨拶も無事に終わるとあっという間に会はお開きとなり――…重役が退散後、我々も大会議室から閉め出された。
会議室の開閉は総務課の仕事なので、鍵を管理する俺は、最後まで残り…戸締まりをする。
一通り、不備がないか広い会議室を見回るがステージ横の機材置き場を覗こうとして――…後ろか背中を押され!機材室に俺は、倒れたこんだ!
「うわっ!痛っ!だっ、誰!」
「啓二(けいじ)さん!啓二さん!」
他折れ込んだ俺を物凄い勢いで抱き締めたのは…他でもない…
ユナだった。
「ゆ……ユナ…!?ユナ…?」
「ごめんなさい…ごめんなさい……会いたかった…会いたかった…ごめんなさい…」
10年…10年……音信不通で……バカやろ…こいつ…
文句は沢山の言いたかった!
でも、
抱き締められ――――…子猫のように震え泣くユナに俺も…涙を流して抱き締めた。
「会いたかった…会いたかったよ…ユナ…」
頭を撫でると…サラリと指からすり抜ける綺麗な髪質は10年前と変わらぬ感覚だが…肩幅、頭の大きさ、頭の位置は10年前とは違った。
だが、変わらぬユナの香りに俺は、再び涙した。
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