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お題小説第2弾「キミが大好き☆」

第1章 キミが大好き☆

「あ…」

健斗が、ちょっとだけ、頭を掻いて、振り返った。

彼との距離は5メートル。

「あー何だ…」
海の方に顔を向けた彼の頬が、夕日の色に染まっていた。

「今日のおめー…可愛い…ぜ」

え?

一瞬、トクンとなった心臓が、
そのまま、止まったんじゃないかと思った。

「じゃあな」
くるりと、踵を返す。
前より足が速い気がする。

「待って!」

あたしは叫んでいた。

健斗が立ち止まり、振り返る。

「待ってよ…」
そうは言ったものの、あとが続かなかった。
なにか言わなきゃ、と焦りに焦って、
出てきたのは、こんな言葉だった。

「メガネ…メガネはどうなの?」
「どうって…」
「似合ってるか、って」

そこまで言って、
あたしは恥ずかしさが込み上げてくる。

何、言ってんだあたし。

でも、健斗がそんなあたしを見て、
ちょっと微笑んで、
そして言ってくれた。

「似合ってる、意外にも」

その笑顔と、いつもの軽口が、
あたしの変な緊張をほどいてくれた。

「好き、だから」

言った。小さな声だったかもしれない。
それでも続けた。

「健斗が、好きだから…」

だんだん声が小さくなる。
自信がなくなっていく。

俯いてしまい、
彼の顔を見ることすらできなくなる。

「だから、き、今日は全力の…あたしで…き」

『来たんだ』と言おうとした途中で、
ふわっとあたしの体は抱きしめられていた。

彼に、抱きしめられていた。

「バカ野郎…亜紀子、
 おめー…んな格好で、そんなこと言われたら…」

今まで、必死に我慢してたのによ…

空耳じゃなければ、彼はそう言ったと思う。

なんだ、そうだったのか。
バカみたいだ。バカみたいじゃないか、あたしたち。

ハハハと笑えて、
涙が出た。

ちゃんともっと早く言えばよかった。
もっと早く、言ってくれればよかった。

おずおずと私も彼の背中に手を回す。
ゆっくりと力を入れると、
彼はもっと強くあたしを抱きしめてきた。

やっとあたしは…あたしたちは、
『親友』を卒業できそうだ。
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