My Godness~俺の女神~
第1章 Prologue~序章~
まっ、俺には馬鹿馬鹿しい話だ。俺には早妃(さき)さえいれば、十分だったから。俺のパネル写真を撮ったのも実はといえば早妃だったんだ。
気障な言い方だろうが、俺は早妃にとってナンバーワンの男でありさえすれば良かった。他の女なんて全く眼中になかった。
おい、止めてくれよと言いたいのをぐっと堪えて、俺は女性客の背中に片手を回し抱き寄せる。女は完全に頭に血が上ったみたいで、俺の膝の上で無遠慮に唇を重ねてきた。ああ、ムカムカして吐きそうだ。何なんだ、このどぎつい香水の匂いは。
旦那の金が有り余ってるから、こんなところにまで来るんだろうけど、もうちったァ、マシな金の使い方はないのかよ。そう思ってしまう。可哀想なのは旦那だ。手前の嫁さんがホストクラブで昼日中から若い男とこんな風にいちゃついてるなんて知りもせずに、汗水垂らして働いているんだろう。
だが、考えてみれば、この女だって哀れなもんだ。この店に来るのは大抵、金だけは有り余ってても、心が少しも満たされてない女ばかりだからな。他のホストたちは俺がそんなことを言うと、ゲラゲラと笑う。
―悠(ゆう)理(り)はまだまだ蒼いなぁ。オバさんたちが俺らに逢いにくるのは心の渇きよりも身体の方が乾いて仕方ないからさ。
なんて、俺より年上のホストが馬鹿にしたように言う。
けど、身体の乾きなんてものは無理に馬鹿高い金払ってまで男を買わなくても、何とかなる。今は怪しげな道具が色々と出回ってるからな。しかし、どれだけ道具を駆使して欲望処理してみたところで、それは所詮、自己満足じゃないか。
ここの店に来る女たちは皆、淋しいんだろう。亭主にも子どもにも見向きもされず、空っぽになった心を持て余しかねて堪らずに来る。俺らが彼女たちに同情する必要はさらさらないが、言ってみれば、ここに来る客たちも皆、可哀想なんだろう。
おばさんの行動はますますエスカレートしてきて、今度は生温い舌が俺の口の中に入ってきそうだったので、俺は堪りかねて彼女の身体を少し押しやった。もろちん、相手にあからさまに判るようなヘマはしない。あくまでも、さりげなく、だ。
「折角、よくお似合いの口紅が落ちてしまいますよ? 実沙(みさ)さん」
このおばさんの名前は藤堂実沙。名前だけは早妃に似ているけれど、外見も中身も似ても似つかない。
気障な言い方だろうが、俺は早妃にとってナンバーワンの男でありさえすれば良かった。他の女なんて全く眼中になかった。
おい、止めてくれよと言いたいのをぐっと堪えて、俺は女性客の背中に片手を回し抱き寄せる。女は完全に頭に血が上ったみたいで、俺の膝の上で無遠慮に唇を重ねてきた。ああ、ムカムカして吐きそうだ。何なんだ、このどぎつい香水の匂いは。
旦那の金が有り余ってるから、こんなところにまで来るんだろうけど、もうちったァ、マシな金の使い方はないのかよ。そう思ってしまう。可哀想なのは旦那だ。手前の嫁さんがホストクラブで昼日中から若い男とこんな風にいちゃついてるなんて知りもせずに、汗水垂らして働いているんだろう。
だが、考えてみれば、この女だって哀れなもんだ。この店に来るのは大抵、金だけは有り余ってても、心が少しも満たされてない女ばかりだからな。他のホストたちは俺がそんなことを言うと、ゲラゲラと笑う。
―悠(ゆう)理(り)はまだまだ蒼いなぁ。オバさんたちが俺らに逢いにくるのは心の渇きよりも身体の方が乾いて仕方ないからさ。
なんて、俺より年上のホストが馬鹿にしたように言う。
けど、身体の乾きなんてものは無理に馬鹿高い金払ってまで男を買わなくても、何とかなる。今は怪しげな道具が色々と出回ってるからな。しかし、どれだけ道具を駆使して欲望処理してみたところで、それは所詮、自己満足じゃないか。
ここの店に来る女たちは皆、淋しいんだろう。亭主にも子どもにも見向きもされず、空っぽになった心を持て余しかねて堪らずに来る。俺らが彼女たちに同情する必要はさらさらないが、言ってみれば、ここに来る客たちも皆、可哀想なんだろう。
おばさんの行動はますますエスカレートしてきて、今度は生温い舌が俺の口の中に入ってきそうだったので、俺は堪りかねて彼女の身体を少し押しやった。もろちん、相手にあからさまに判るようなヘマはしない。あくまでも、さりげなく、だ。
「折角、よくお似合いの口紅が落ちてしまいますよ? 実沙(みさ)さん」
このおばさんの名前は藤堂実沙。名前だけは早妃に似ているけれど、外見も中身も似ても似つかない。