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My Godness~俺の女神~

第5章 ♯Detection(発覚)♯

 またしても、ひかるの声が耳を打ち、実里は顔を上げた。
「あっ、う、うん」
 ひかるは首を傾げた。
「だから、どうしようかなと思ってるの。私もそろそろ潮時だしね、金橋君がプロポーズしてくれるのなら、それを受けても良いかなと思ったりもして」
 何の話だっただろうか? 今のひかるの発言からして、金橋君がついにひかるにプロポーズした?
 実里は話を合わせるかのように明るい笑顔を作った。
「良かったじゃない。ひかるも満更でもないんでしょ。金橋君のこと」
 しかし、流石に長年の付き合いだけあって、ひかるは実里が話を殆ど聞いていなかったこなどお見通しのようである。
 ひかるにじいっと見つめられ、実里はつい視線を逸らしてしまった。
「何だか最近の実里はおかしいよ?」
「え、そ、そうかな?」
 実里は狼狽えながらも無理に微笑んだ。
「お昼、食べないの? ぐずぐずしてたら、昼休みなんて、あっという間に終わっちゃうよ」
「うん、そうだね」
 実里は抱えてきたビニール袋からコンビニのお握り一個とペットボトルのウーロン茶を取り出した。
「ええっ、お昼って、それだけ?」
 いささか大仰にも取れる反応を見せ、ひかるが眼を剥いた。
「あまり気分が良くないの。少し胃の調子が悪くて。むかむかして最近は何も食べられないことの方が多いし、これだけでも全部食べられないかも」
 それは嘘ではない。六月に入ってから、実里は身体の不調が続いていた。始終、頑固な吐き気が続き、食べる物が食べられない。そのせいで、ひと月の間に、実里はひと回り以上痩せた。元々小柄で細いから、最近は痛々しい印象すら与えることに、当人はまだ気づいていない。
 ひかるがふいに黙り込んだ。何やら考え込んでいるようだ。
「そういえば、実里って、ここのところ、お昼は殆ど食べてないわよねぇ」
 ひかるに言われるとおりだった。これまでは手作りの弁当を持参するのが日課で、たまにプチ贅沢して、ひかると一緒に近くのファミレスにランチをしに行く程度。

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