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ヒュリカ ~僕だけをみて~

第3章 誘拐


……

胡桃は駅で愛に別れを告げた

煙草臭い改札を抜けて
いつもの黄色い電車に乗る



胡桃は決まって、いちばん端に座った

ただ何となく、居心地が良かった



ガタン…ゴトン…
定期的に車体が揺れる



目をつむると、このまま溶けてしまいそう



青い空に、この巨大な虚空を抱いて



一体となるんだ






午後4時の陽射しはまだ胡桃には強くて





眩暈がした

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