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Memory of Night 番外編

第3章 熱々、バレンタインデー!


「やだ」


 たった一言で拒否されて、宵は絶望的な気持ちになる。

 口元からは唾液が伝い、頬も涙でぐしょぐしょだった。灰色の瞳から流れ続けるそれは、顎を伝って晃の手首にぽたぽたと落ちる。

 そうして宵のものをいじめていた晃の顔が、ふいに緩んだ。


「……結局なんにもご奉仕してもらえなかったけど。まあ、宵の泣き顔もいっぱい見れたし、貴重なおねだりも聞けたからいいか」


 ひとりごちるようにつぶやいて、宵の耳に唇を寄せる。


「最後にダーリンてつけてもう一回おねだりして。そうしたらイカせてやる」


 涙で視界が歪んでいる。

 羞恥を感じている余裕はなかった。

 肩は激しく喘がせたまま、宵は晃の頬に手を添えて、首筋に顔をうずめ、震える声で晃の要求を実行した。


「お願い、イカせて。……ダーリン」

「――よくできました」


 顔を上げさせられて、熱い口付けをされる。

 体を揺すぶられたまま、宵の根本に絡めていた指を外され、一際強く宵のものを愛撫される。


「ああっ――!」


 頭の中まで真っ白に塗りつぶされそうな快感に、視界が崩れる。

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