テキストサイズ

Memory of Night 番外編

第5章 美少女メイドを捕まえろ!


「良かったね。みんな、綺麗とか可愛いとか、絶賛だったじゃん」

「だからそれ、全っ然褒め言葉になってねーから」


 コスプレが似合うだの可愛いだの言われて喜ぶ男は、そういう趣味を持っている人に限るはず。そこに偏見はないが、自分にその手の趣味はない。

 そもそも、男に可愛いという言葉を使うこと自体がどうなのだろうと。からかわれているだけなんじゃないかと思ってしまう。


「褒めてんだよ」


 ふいに晃の手が、宵の手首を掴む。


「でも俺は、少し嫉妬しちゃうな」


 そうして宵の指に唇を押し付け、自分の口に含んだ。唾液を絡めるように舌を動かす。


「……なんだよ」


 宵は突然の晃の行動に焦り、反射的に指を引っ込めようとした。けれども晃は手首をしっかりと掴んだまま、その行為をやめない。

 冷たい冷気に晒され続けていた指が、温かい粘膜に包まれる。その感触に、妙な気分になってくる。宵の背筋がぞくりと震えた。


「こういう格好、あまりみんなの前では見せてほしくないってこと」

「その割には助けてくれなかったじゃねーか。さっき」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ