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Memory of Night 番外編

第5章 美少女メイドを捕まえろ!


 晃の瞳に促され、宵はようやくその口を開いた。


「遊ばれてる気がして、やだ」

「あらまあ、可愛いことを」

「何が」


 ふざけた口調に苛立ち、宵は思わず右手で砂を掴んで晃めがけて投げつけた。

 晃は腕で顔を庇いながら、顔をしかめて体を引く。


「砂で攻撃って。小学生じゃないんだから」


「うっせ。もう帰る、あっち行けよ」


 声にも明らかに不機嫌さがにじみ出ていたが、隠す気もなかった。晃はいつも勝手だ。

 そうして立ち上がろうとしたが、その前に晃に前を塞がれる。


「悪かったよ。メイド姿があまりに可愛いから、意地悪したくなっちゃったんだよ」

「変態」

「もうそれ、聞き飽きた」


 晃は苦笑した。

 だが宵の不機嫌そうな顔は相変わらずで、軽く首をかしげて尋ねる。


「何を怒ってるの? 君が俺に遊ばれるてるのなんて、いつものことじゃん」


 あっさりと言い切る晃にそれはそれで酷い気がしたが、確かに、とも思う。晃にからかわれたり妙なプレイを強要されるのなんて、考えるまでもなくいつものことなのだ。

 そんなことはわかっている。

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