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Memory of Night 番外編

第5章 美少女メイドを捕まえろ!


 確かに、旧校舎なんかで一日中隠れて過ごすよりは、晃と文化祭を見てまわった方がずっと楽しかったろうと思う。

 だが、自分が気に食わないのはそこだけではないのだ。


「俺はおまえのやり方がむかつくんだよ。いきなりひょっこり現れて、人の体好き勝手しやがって」

「好き勝手って?」

「……変なプレイしてきただろ、旧校舎で」

「変なプレイってどんなだっけ? 宵の口から詳しく」

「…………この変態野郎」


 恥ずかしいセリフを自分に言わせて、口ごもるのを見てからかう気なのだろう。それくらい読める。


「はぐらかすなよ」

「ごめん」

「そうやって俺ばっか振りまわされんの、嫌なんだよ。すげーむかつくっ。なんか……」


 そこで宵は口つぐんだ。

 晃から視線を外したまま、唇を噛む。


「なんか?」


 晃は先を促すように最後の宵の言葉を反芻する。

 宵は口を開きかけ、閉じた。まだ弱味を見せることには抵抗がある。

 この妙なプライドは性格なんだからしょうがないのだとも思うが、邪魔に感じるのも事実だ。

 これがなければ、もう少し上手く自分の気持ちを伝えられるだろうか。

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