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Memory of Night 番外編

第2章 Episode of YOI


 授業時間外に特別教室に入るのは、なんとなく後ろめたいことな気がして、辺りをキョロキョロと見渡してしまう。

 誰もいない。

 聞こえた声をよくよく思い出せば、それは外からだった。


(誰だろう?)


 忘れ物をして取りに戻った女生徒が、他にもいるのだろうか。

 愛美は鞄を肩にかけ直し、教科書などは胸に抱えたままの格好でドアから廊下を覗いた。

 やはり人の姿はない。

 だが、先ほどよりも小さくて聞き取りにくいが声はしていた。それは隣の理科準備室から。

 理科準備室は生物室の半分ほどのスペースしかなく、そこには理科で使う機材や資料などが詰め込まれている。

 生徒は立ち入り禁止のはずだった。一瞬教師が明日の授業の準備でもしているのかと思ったが、先ほどの声は明らかに女生徒のもの。

 好奇心が抑えられず、愛美はドアにはめられたガラスから、そっと中を覗いてみた。


(――え?)


 自分の目を疑いそうになる。

 真っ先に飛び込んできたのは、下はスカート、上は下着しか身につけていない女生徒の後ろ姿。

 そしてその向こうにも人影があった。後ろ姿の女生徒が邪魔で、右腕と膝しか見えないため、誰かは判別できなかったが。

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