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Memory of Night 番外編

第3章 熱々、バレンタインデー!


 素っ頓狂な声で聞き返す宵に、晃は至って冷静に頷いた。


「俺が。昨日母さんが父さんに作ってたから、ちょっと材料分けてもらった」


 いつもは貰う側だからなんか新鮮だった、と笑う晃に、宵はつい吹き出してしまう。


「似合わねー」

「……似合っても嬉しくないよ」


 晃が、袋を閉じるために結んでいた赤いリボンを取った。

 見た目もオシャレで、まるで女子が作ったようなデザインだったから、それが余計に宵のツボにハマる。

 しかもなにげにサイズも大きく、中身もずいぶんたくさんの量が入っていた。


「……言っとくけど、この袋とリボンも親のを貰っただけだからな。俺の趣味じゃない」


 釘を刺すように晃はそう付け足した。

 袋の口を開くと、中から漂う香ばしい香り。


「焼き菓子と生チョコ作ってみた。こっちは焼き菓子」

「まだあんの?」

「もう一袋同じサイズでございますとも。でも、そっちは甘いから。宵は甘いの苦手だろ?」

「うん。これは甘くねーの?」

「……どっちかっていうと、辛い」

「はあ? なんだそれ。辛いチョコなんて聞いたことねーぞ?」

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