テキストサイズ

Memory of Night 番外編

第3章 熱々、バレンタインデー!


 辛いチョコ。ハバネロでも入っているのかと思う。

 晃は宵に、展望室に備え付けてある長椅子に座るよう促した。

 おとなしくそれに従い、二人で並んで腰掛ける。


「食べてみ?」


 やけにニヤニヤしながら晃が宵に菓子を差し出す。

 その顔が妙に怪しく思えてならなかった。

 宵は袋から菓子を一つ取り出すと、それを晃の口元に持っていった。


「毒味しろよ?」

「……失礼な。別に変なものは入れてないけど」

「変な物が入ってなくてなんで辛くなるんだよ? そんなチョコ菓子聞いたことねーし」

「食べてみればわかるって」


 とは言え、宵が食べさせてくれるなんて珍しい。

 また雪でも降るんじゃないかと思う。

 晃は口を開けた。

 途端にチョコをポイッと放り込まれる。


「芸がないな。もっと色気のある食べさせ方ってできないの?」

「色気って……どんなだ」

「ん? そうだなぁ。例えば……」


 晃の瞳が意地悪く細められる。

 次の瞬間には、晃の手に両手首を掴まれ、動きを封じるように、長椅子の後ろの壁に背中を押しつけられていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ