
日曜日の夜は
第6章 花火
僕と彼女が川に着くころ、空には花火があがっていた。
漆黒の空を裂いて打ち上がり、川岸で見物する大勢の顔を一瞬にして映し出す。僕たちは空をぼんやりと見つめる。
次々と打ち上がる花火は、風にあおられることもなく大輪の花を咲かせると、闇に吸収されるように消え、同時に煙のにおいがたちこめた。
さらに身を乗り出して、川面で弾ける光を最後まで見届けようとする彼女の口から微かに声がもれた。僕は息を詰めて彼女の横顔を見つめる。
爆音と共に弾け散る花火は、僕の太古から受け継ぐ本能に響いた。理性を失った僕はとっさに彼女の手を握りしめていた。
ひときわ大きい花火が天空に咲き、歓声が辺りにどよめく。
僕と彼女はしばらく見つめ合って、それを見逃してしまった。彼女の瞳が僕の心まで射るようで、そこから離れない。彼女は照れ臭そうに笑って再び夜空を見上げて呟いた。
「明日、海行こっか」
僕は顔をにこつかせて花火を見た。もう終わりかと思った時、次は黄や赤のハート型が音をたてて咲いていた。
漆黒の空を裂いて打ち上がり、川岸で見物する大勢の顔を一瞬にして映し出す。僕たちは空をぼんやりと見つめる。
次々と打ち上がる花火は、風にあおられることもなく大輪の花を咲かせると、闇に吸収されるように消え、同時に煙のにおいがたちこめた。
さらに身を乗り出して、川面で弾ける光を最後まで見届けようとする彼女の口から微かに声がもれた。僕は息を詰めて彼女の横顔を見つめる。
爆音と共に弾け散る花火は、僕の太古から受け継ぐ本能に響いた。理性を失った僕はとっさに彼女の手を握りしめていた。
ひときわ大きい花火が天空に咲き、歓声が辺りにどよめく。
僕と彼女はしばらく見つめ合って、それを見逃してしまった。彼女の瞳が僕の心まで射るようで、そこから離れない。彼女は照れ臭そうに笑って再び夜空を見上げて呟いた。
「明日、海行こっか」
僕は顔をにこつかせて花火を見た。もう終わりかと思った時、次は黄や赤のハート型が音をたてて咲いていた。
