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All Arounder

第12章 That's Theft




「でも大志、昔は斉藤のこと大好きだったんだよ?
"オレも父さんみたいな刑事になる!!"とか言って」



ゆうひはクスクスと笑った



『そうなんですか…』



「"自分が正しいと思うことをしろ"って腐るほど言われてたから…
大志なりに、正しいことをしたつもりだったのよ」




『…』





"正しいこと"を否定された大志は




"正しいこと"を肯定すべき刑事を、父親を…嫌っていったんだ…






「そのせいなのか何なのかわかんないけど、中学生の頃は大志、超グレてたしね」



『え、そうなんですか!?』




「そうなんです。
今はもう落ち着いてるけど、気に入らないことがあったらすぐ殴りに掛かってたんだよ?」




『…意外』




…でもないか…



喧嘩とか強かったもんね






『…ありがとうございました』


姫はペコッと頭を下げた



「そんなそんなっ
どういたしまして」



またゆうひは、笑った




『…』




「…どうしたの?」




姫は眉間にシワを寄せ、黙りこくる





「…悲しいことでもあったの?」




そっと頭を撫でてくれる手が優しくて



まるで自分の母親のようで




急に、愛情で包み込んでほしくなった





『大志のお母さん…』





「なあに?」





姫は唇を震わせながら



言葉を発した







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