All Arounder
第13章 Tear
「ちょいと放任主義すぎたかな…」
斉藤はソファーに腰を下ろした
『放任?』
「ああ。
オレはガキん頃、親父に縛られてばっかでな…
しんどくて、つらくて、結局家を飛び出したんだ」
姫は、斉藤の隣に腰を下ろした
「だから大志には、あんな思いしてほしくなくて…
自由にさせすぎちまったみてぇで…」
姫は、苦笑する斉藤の横顔を見ていることしか出来ない
「結局、怒りっぽいガキになっちまった」
『…』
大志が父親を嫌う理由が
今、わからなくなった
『大志は多分…斉藤さんを嫌ってないですよ』
「へ?」
斉藤は姫の顔を見た
『大志は…素直じゃないだけ』
そうだよ
自分の失敗をこれだけ悔やんでいる父親…
その失敗も、もとはと言えば、息子を思ってのことだったんだ
これだけ素敵な父親を
嫌う理由が見当たらない
『だから斉藤さんは、そんなに自分を責めないでください』
「姫ちゃん…いい子だな」
また
頭を撫でてもらえた
『…///』
欲しい
「じゃあ、オレは風呂にでも入ってくっかな」
斉藤は立ち上がった
欲しい…
グイッ
「?」
姫は斉藤の腕を掴んだ
『…行かないで…///』
欲しい
この人の
愛情が