All Arounder
第14章 Secret Smile
「親父」
「あ?」
突然大志に呼ばれたので、斉藤は箸を持ったまま手を止めた
「やらしい目で姫を見てんなよ」
「誰の目がやらしいって?おめぇの方が充分やらしいんだよ」
卵焼きに箸を伸ばすと、大志の箸がそれを妨げた
「…」
「…」
もう一度…と思うが、また妨げられる
「何すんだガキ…」
「ジジイに朝飯食う資格はねぇ」
ガタンッ
と斉藤は席を立ち上がった
「締め上げてやらぁ」
「やってみな」
大志も立ち上がり、今から喧嘩が始まるのかと思いきや…
大志は姫の手を掴むと、一気に玄関へ逃げていった
『あたしまだ食べてるのに…』
「後で何かおごってやらぁ」
大志と姫は靴を履くと、家を飛び出した
「…あの野郎…」
斉藤は渋々椅子に座った
「まさかお兄ちゃんにあんな可愛い彼女が出来るとはねー…」
美空は口をモグモグさせながら言った
「まったくだ」
「あたしもさっさと彼氏作ろっと」
「!!
美空に男が出来たらオレ泣く!!」
「じきに泣かせてやる」
美空は食べ終わると、歯を磨きに洗面所へ向かった
「…」
まぁとりあえず、姫ちゃんと大志のごたごたは解決したみてぇだな…
嬉しさ半分、寂しさ半分
斉藤も朝食を取り終えると、仕事へ向かった